私も以前別の目的で合同会社を設立したのですが、法人を廃業することも検討致しました。
法人を設立するのは意外と簡単なのですが、閉鎖となると法律に従って煩雑な手続きもかかり、
さらに高額な費用が発生します。

まずは手続きについてみてみます

手続きの流れ

①解散の準備
会社を廃業するときには、まず会社を解散し、営業を停止しなければなりません。解散日を決め、従業員、取引先、顧客などの関係者に「廃業のお知らせ」などの書面で営業終了を通知しましょう

②株主総会での解散決議
会社は、会社法で定められた解散事由がなければ解散できません。自主的に廃業する場合には、株主総会の決議(会社法471条3号)による解散を選ぶ必要があります。解散には特別決議が必要であるため、発行済株式総数の過半数の株主が株主総会に出席し、議決権の3分の2以上の賛成で解散の決議を行います。

③清算人の選任
会社の廃業のためには、会社の財産を清算する必要があります。会社の解散時の株主総会では、通常、清算人も同時に選任します。清算人には、社長が就任するケースが多くなっています。

④解散・清算人選任登記(※解散日から2週間以内)
会社を解散したとき、清算人を選任したときは、法務局で登記手続きをする必要があります。解散登記と清算人選任登記は、通常、同時に行います。

⑤解散の届出
解散登記が完了したら、税務関係の届出も必要です。国税である法人税については税務署が、地方税である法人住民税や法人事業税については都道府県税事務所や市区町村役場が管轄になりますから、これらの官庁に解散届を出します。なお、解散届には、会社を解散した旨の記載がある登記事項証明書を添付します

許認可を受けている場合にも、許認可庁に解散の届出が必要な場合があります。たとえば、建設業の許可を受けている会社が解散するときには、許可を受けている官庁(国または都道府県)に建設業の廃業届を提出しなければなりません。

⑥社会保険関係の手続き
会社を廃業し、従業員を解雇する場合には、社会保険や雇用保険の手続きも必要になります。会社解散後も従業員が残っている間は社会保険に加入しておく必要がありますが、従業員が1人もいなくなったら事業所が廃止されたことになるため、「適用事業所全喪届」を年金事務所に提出します。

⑦解散公告
会社を閉鎖する前に、会社の借金を返さなければなりません。会社の債権者に申し出てもらうために、会社解散後は速やかに、官報に解散公告を掲載することが法律上要求されています。解散公告では、2か月以上の期間を指定し、債権者に債権を申し出るよう通知する必要があります。

⑧解散時の決算書類の作成
会社を廃業するときには、解散時と清算結了時の2回決算書類を作成することになります。解散時には、決算書類のうち財産目録及び貸借対照表について、会社法上、株主総会の承認を受けることが要求されています。

なお、会社の貸借対照表で、純資産額がマイナスになった場合には、債務超過ということになります。債務超過の場合、自主的な廃業はできず、倒産手続き(破産または特別清算)を行う必要があります


⑨解散確定申告(※解散日から2か月以内)
通常の確定申告と同様の方法で、解散事業年度(事業年度開始日から解散日まで)の確定申告を行います。なお、解散日以降も、会社の廃業が完了するまでの間は、1年ごとに確定申告が必要です。

⑩債権回収、債務弁済など
会社の債権を回収し、会社の債務を弁済します。会社の資産は売却してお金に換え、債務の弁済に充てます。 なお、7の債権申出の公告の期間が終了するまでは、原則として債務の弁済をすることができません。一部の債権者のみに優先的に弁済をすれば、他の債権者が弁済を受けられなくなる可能性があるからです。ただし、少額の債務の弁済など、他の債権者を害するおそれがない場合には、裁判所の許可を得て弁済することができます

⑪残余財産の確定・分配
会社の財産を整理し、残余財産を確定します。残余財産を株主に分配して清算結了となります。

⑫決算報告書の作成・承認
清算結了したら、決算報告書を作成し、株主総会の承認を受けます。これにより法人格が消滅し、会社が廃業したことになります。

⑬清算結了登記(※決算報告書承認後2週間以内)
法務局で清算結了登記を行います。支店の登記がある場合には、支店所在地でも清算結了登記を行う必要があります。清算結了登記が完了すると、登記記録が閉鎖されます。

⑭清算確定申告(残余財産確定日から1か月以内)
残余財産確定事業年度の確定申告を行います。

⑮清算結了届
税務署及び自治体に清算結了の届出を行います

費用について

会社の廃業・閉鎖にかかる費用
①登記にかかる費用(登録免許税)
会社を廃業するときには、解散・清算人選任登記、清算結了登記の2回の登記手続きが必要になりますから、登記費用がかかります。登記費用の主なものは、登録免許税です。それぞれの登記手続きにかかる登録免許税は、次のとおりです。

登記の種類 登録免許税の額
・解散  3万円
・清算人の選任  9,000円
・清算結了  2,000円

②官報公告の費用
会社を閉鎖する前には、債権者保護のための官報公告が必要です。官報に解散広告を掲載するときには、掲載費用がかかります。官報掲載費用は、約3万3000円になります

③専門家の費用
会社の廃業・閉鎖の手続きを司法書士・税理士などの専門家に依頼した場合には、登録免許税や官報公告費用などの実費のほかに、専門家の報酬がかかります。

司法書士に会社の廃業・閉鎖に必要な手続きをすべて依頼すると、平均でも7万円程度かかります。

税理士に解散確定申告や清算確定申告を依頼した場合には、さらに10万~20万円程度がかかるため、トータルで30万円程度になります。

以上それぞれの費用を合計すると約374,000円かかるということです。


法人を解散するには時間もかかり、高額な費用も発生します。
可能ならば会社売却という選択肢を選ぶことが重要であると考えられます。

会社売却のご相談はお気軽にお問合せ下さいませ。
よい条件で購入してくれるところがございます。

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執筆者プロフィール

業務執行社員 井上武俊
業務執行社員 井上武俊
学生時代は東京でイベント企画及び人材派遣の会社を運営しておりました。 社会に出て財務一筋で、最近はタイで赴任を経験しました。現在は民泊運営のご相談、不動産売買、財務コンサルを行っています。

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